I D 2 0​

——これは僕の独白。僕自身が井戸(ID)の底に潜っていく。

ノスタルジックでとても私的だけど、深く潜ってそれをどこまでも普遍化することで新しい場所へ行けるかもしれない。この井戸は深さを知らない。2020の感情が詰まった井戸。ぜひ深く潜り込んでいってほしい。

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I D 2 0

2020.07.08 on sale

 

Track List

  1. CODE

  2. imsodigital

  3. IDO

  4. Slow Field

  5. (twenty)sailing

 

Profile

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1999年生まれ、20歳。 アーティスト、文筆家。

若干二十歳のアーティスト/文筆家/フォトグラファーという様々な側面を持つ今期待の新世代DIYミュージシャン。心地よく囁く声と歌詞が特徴で、Daniel Caesarや宇多田ヒカル、小説家・村上春樹などからの影響を受け、ヒップホップ、R&B、ゴスペルなど様々なジャンルの要素を感じることができる。楽曲制作もさることながら、ミュージックビデオの制作、楽曲のジャケットやwebサイトなども全てセルフプロデュースしている。

2019年2月には楽曲「シティーシティー」がSpotifyのバイラルチャートにランクインし、2019年7月にはSpotifyの新人発掘プロジェクト「Early Noise」のカバーを飾る。音楽プロデューサー・加茂啓太郎、音楽ジャーナリスト・柴那典らが審査員を務めるEnter Tech Lab主催『CHACCA CHALLEGE』で最優秀賞を獲得。彼のシングル「積乱雲」は2019年のベストミュージックとして数多くのキュレーターからピックアップされ、グラミー賞にノミネートされたプロデューサー/ DJのstarRoなど、日本の最もホットなプロデューサーからの支持を得ている。

 

M1 Code

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昔々、といってもせいぜい二十年前、僕は十八で、大学に入ったばかりだった。東京のことなんて何一つ知らなかったし、特に何かになろうとも思ってなかったけれど、でもそれは大した問題じゃなかった。僕はちょうどその頃頭を悩まさなければならないことが他にいっぱいあったし、正直なところ歳のことなんか考えもしなかった。かわりに水曜の一〇時から始まる「西洋近代史論II」のモネやゴッホやらについての講義で頭がいっぱいになっていた。それぐらい目の前のことしか見えてなかったのだ。でも今になって思い返すと不思議な出来事が一つだけあった。僕は決まって授業中、美術史のページに目をやりながら満遍なく祈るのだが、(神とかそういうのではなく。なんというか、満遍なくだ) 一度だけ時の洗礼を受けない街に出かけたことがある。目を覚ますともうそこにそれは存在しない。むろん、朧げで判然としない世界だった。美術史のページの考古学的な知見に脳味噌を溶かしながら僕はその時代を想像し、妄想にふけった。でも夢ではないとはっきりと感じた。ぼくはただ走って確かめる。あの現実はなんだろうか、井戸に潜るようなあの空間はなんだろうか。満遍なく祈るだけじゃ普段のぼくにはわからないようだ。でも、この世の中であの井戸の中ほどぼくの気持ちに近いものはないんだ。いや、ここはぼくの中の印象的な想像力そのものなのだ。他世界に出てからはなくて叶わぬいろいろな美徳や才能に思いを巡らせた。いたずらな気の中に世の荒波を乗り越えていくためにユーモアと軽快さを見出した。いっさいのフィルターや数字はぼくには関係なかった。むしろぼくの手元の想像力の意志の方が利口だと思った。もうここにはいられないのだ。静かなためらいと抵抗の心持ちを大切に、道もない森に入りそして遠くの野原をほっつき歩く。時には眩しいほどの満月が輝いている。むろん進むほか手段はなさそうだ。

 

M2 imsodigital

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愛というものが同時に不幸の源にならなくてはいけなかっただろうか。穏やかに流れる自然の響きを感じてぼくはあたたかい溢れるばかりの感情を抱いた。ぼくはぼく自身の内部の井戸に引き下がりこの感情の中に身を浸し、周囲の世界がスローになるまで思いなしたのだが、現在ではこの感情がどこまでもぼくにつきまとう亡霊となり、耐えがたい拷問者となる。ぼくはかつて君に話したつなぎの話を出まかせに喋り語ったことや、自分の周囲にあるいっさいのものが恍惚となったあの空間や、この上なくやさしい森陰を複雑な線を描いてなす山々、肌をなぜるような穏やかな凪、夕方やさしく揺らぎ始める風と時間にメタファーを宿した無限なる世界に注意を向けると、自分は広大な世界のちっぽけな自分だということに気づく。巨大な君からの尊敬をぼくの自然に抱きいれ、たぎりたつ豊かさのうちに自身が無限の世界のなんともいえぬものの姿がいっさいに活気を与えながら魂の中で蠢くのであった。わがままな子供のように無邪気な君の目がぼくに語りかける。現在のぼくのいる境遇は、もしぼくが馬鹿者でさえなかったのなら、この感情を話すことは許されるだろうか。それでもこのためにぼくはよく悩んでしまった。あまりにも私的だから以前からこのことを語ることはためらった。それなのに、溢れるばかりの感情を抱きはっきりと自体を見通してるわけでもなしに、このように振る舞ってしまった。だからぼくは幼い時のように思いを巡らすのはもうやめにした。ぼくはふりだしに戻るとそう歌うことにした。この瞬間ぼくは胸がいっぱいになった。一つの心を左右するただ一つのぼくの心を頼りして、語りあかそう。今まで感じた激しい怒りのような情動も風のそよぎのような愛しさも、愛がなければぼくは悲しい鳴るドラ、響くシンバル。幸も不幸もぼくらの心次第だということはまったく本当らしい。

 

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共作リリースより約1ヶ月半、これほど短いスパンで今までのokkaaaにないサウンドや世界観を再度抉りだしたことに衝撃を受けました。哀愁漂うokkaaaの詩に今作はサイケの秘境感が加わり、間違いなく超現実的な体験を味わえる五曲だと思います! (LULU)

優しく揺さぶってくるようなメロディと包み込んでくれる声が全部肯定してくれる。数ヶ月間でぽっかり空いた穴を埋めてくれる 本当天才的だと鳥肌が止まらない okkaaa 「ID20」聴いてください ありがとう。また写真撮ろうね。(Hideya Ishima)

耳元で囁くような息の通ったリリックが直近の自分の心情とリンクして思わずセレクト。公式HPの曲の解釈文と合わせて聴くのも楽しい。(文,Akari,https://mag.digle.tokyo/news/87152より)

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